近年、派遣社員として働く人が増えてきています。
派遣社員だけでなく、非正規社員として働く人の数も増え続けていて、
今後も少しづつ増えつづけていくことが予想されます。
今回は、なぜ派遣社員が増え続けているのかについて、近年の
労働環境も踏まえて考えてみたいと思います。
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派遣社員のほうが働きやすく、待遇がよいという現実
自分の時間を大切にしたい人に働きやすい
近年、派遣社員が増加している原因として、正社員よりも派遣社員の
ほうが働きやすいということが挙げられます。
1日のほとんどを仕事に費やし、残業や休日出勤も断れない正社員は、
生活のほぼすべてを仕事に使います。そうして働いても、ボーナスや
昇給が見込めない会社も多く、長く努めても将来が安泰とは言えない
不安がつきまといます。
そのため、目標を持ちながら働いている人や、自分の時間を大切に
したいと考えている人にとって、自分のライフワークバランスを守り
ながら働ける派遣というスタイルは非常に働きやすいスタイルと言え
ます。
主婦にとっても一番働きやすい
家事や子育てのある主婦にとっても、派遣社員という働き方は非常に
便利です。
残業や休日出勤がなく、時給も高いため、きっちりと決まった時間だけ
働きたい主婦の多くが派遣という働き方を選ぶようになりました。
仕事の幅も広く、レジ打ちや接客と言ったパートに多い職種だけでなく、
オフィスワークや有名企業での受付、アパレル系など多彩な仕事の中
なら仕事を選べます。そのため、あえてパートやアルバイトを選ぶ
理由がなくなったというのが、最近の現状です。
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派遣社員の増加を後押しする社会情勢
雇用側の事情
企業のニーズと一致している
近年、企業は人件費の削減や、即戦力の必要性から派遣社員を
多く雇用する傾向にあります。
企業が正社員を採用する場合、どうしてもある程度のコストが必要と
なります。
正社員を雇用する場合、福利厚生や賞与、退職金、そして教育期間などの
固定費や時間の問題が発生し、総合的に見て派遣社員を雇ったほうが
リスクが少ない場合が多いのが現状です。
そのため、企業も社員を抱えるのを避ける傾向が顕著になってきており、
それが派遣社員の増加につながっています。
派遣会社の増加
企業側のニーズが増えると、必然的に派遣会社が増えます。
派遣会社はできるだけ人材を集めて企業に派遣しようとしますので、
募集の間口も 広くなり、仕事を探す労働者も派遣という雇用形態へ
と流れていきます。
終身雇用という常識の消滅
一昔前までは、ひとつの会社に最後まで勤め上げるのが美徳とされて
きましたが、現在ではもうそういった考え方は古くなってきています。
そもそも、日本の終身雇用制度は、世界から見てもかなり稀な例で、
戦後の高度経済成長期だからこそ成り立っていた制度ともいえます。
当時の日本は、経済がどんどん成長していく過程にあったため、
会社も潤っていて、多くの社員を抱えていてもそれを上回る利益が
ありました。
しかし、現在では経済の成長は頭打ちとなり、いかに経費をかけずに
人を雇って会社を存続させるかが重要となる時代です。
そのため、リスクとコストの低い派遣社員を雇うのが現在の企業の
一般的なスタイルとなりつつあります。
正社員の募集枠の縮小
企業側が積極的に正社員を雇用しなくなっているのも、原因のひとつです。
前述したように、正社員を雇うコストやリスクを考えると、派遣で使える
人を期間限定で雇用するほうがメリットが大きいためです。
オートメーションの進化
近年ますます進化し続けているオートメーション。
あらゆる分野でオートメーション化が進み、人の手をかけずに
商品を生産したり、業務を効率化できるようになってきました。
そのため、企業は正社員を抱える必要性がますますなくなり、
派遣や非正規雇用で十分運用できてしまうという状況になって
います。
労働者側の事情
仕事に対する熱意の低下
高度経済成長期の日本では、ほとんどの人が良い大学を出てよい会社に
入ることを美徳としていました。
就職して一生懸命働く事にモチベーションを感じ、また回りからも
評価される時代でした。
しかし現在においては、つらくつまらない仕事をしても給料はわずか、
昇給も昇進も期待できず、会社もいつまでもつか分からない。そんな
先の見えない状態で働きつづけている人が増えてきました。
そうなると当然、仕事や将来に対して意欲的になることができず、
それなりに働いてそこそこの給料をもらえればそれでいいという
感覚になってしまう人が多く、自由に出入りできる派遣という
スタイルがより便利に利用されるようになってきています。
非正規社員に対する環境の改善
近年、派遣法や改正労働契約者法などの実施によって、派遣社員をはじめ
とした非正規社員の労働環境が改善されてきています。
有給や勤続年数などの待遇面も、労働者の不利にならないように配慮されて
きました。
そのため、無理に正社員を目指さなくてもそれなりに生活していけるように
なったことが、派遣社員の増加につながっていると考えられます。
女性の派遣社員の増加
女性の社会進出が増えてきた事も派遣社員の増加につながっています。
現在、女性の派遣社員の数は全体の半数にまで増えてきており、すでに
男性と変わらない数になってきています。
結婚、出産、育児、家事などをしながら働く女性にとって、派遣社員
という融通の利く働き方は非常に便利と言えます。
ダブルワークの浸透
ダブルワークという働き方が近年では珍しくなくなってきました。
ひとつの会社では給料が少なく、副業として別の仕事もしたいという
人が増えており、副業禁止の会社の正社員よりも、自由のきく派遣で
働きながら複数の仕事をこなしている人も増えてきています。
中には、将来自分の会社や事業を立ち上げるための勉強や準備を
しながら、派遣で働いて収入を得ている人もいます。
娯楽・ゆとりの多い生活環境
「ニート」という言葉が一般的になったように、親の庇護のもとに
生活ができたり、インターネットやゲームの充実によって、働いて
つらい思いをするよりも、自由に生活したいという願望を持つ人が
増えました。
そんな中、いざ働こうと社会に出たときに一番簡単に働けるのが
派遣というスタイルです。
派遣の場合、過去の履歴にあまり影響されずに仕事につけるため、
社会に出るときのハードルが低いという特徴から、派遣社員として
働き始める人が増えていると考えられます。
収入を得る手段の多様化
インターネットの普及や時代の変化によって、労働者として働く
以外にも収入を得る方法が多様化してきました。
パソコンがあれば在宅でも仕事ができますし、ネットビジネスや
Youtuberと言った言葉が浸透するなど、つらい思いをして会社
努めをしなくても、収入を得るのが難しくない時代となりました。
そのため、正社員として一日中働くというかつてのスタイルよりも
派遣で好きな時間に働くという自由を選択する人が増えてきたのが
派遣社員が増えた理由のひとつと言えます。
正社員にそれほどのメリットを感じない
せっかく正社員になっても、給料は固定で残業がつかず、ボーナスも
ほとんど出ない。
それなのに仕事は大変、上司は厳しい、残業は当たり前、転勤は
ことわれない。
そういった状況だと、働く側にとって正社員というポジションは
はっきり言ってメリットを感じなくなってしまい、派遣のほうが
割り切って働けるという意見が多くあります。
派遣社員の生の声
ここ数年の間に、派遣社員に対する労働環境は改善されてきています。
それを受けて、派遣社員の多くの人が、以前よりも働きやすくなったと
感じています。
よくなったと感じる点はどこですか?
求人の種類・数が増えた
・Aさん 女性 飲食店勤務
「数年前よりも派遣で就業できる仕事があきらかに増えましたね。
以前はデスクワーク系の仕事が多くて、あまり自分にできる仕事が
なかったのですが、最近では接客業とかも派遣でいけるので、
自分でもできる仕事が増えて、その中から選べるようになりました。」
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派遣を利用する企業が増えたことにより、求人数や求人の職種が
以前より増えて、働き手の選択肢も増えたことが、働きやすさに
つながっているようです。
飲食店やパチンコ店店員などの接客業や、現場系のお仕事、パソコン
のセットアップと言ったコアな業種も選べるようになってきていて
労働者にも選択肢が増えました。
時給がアップした
Yさん 女性 事務系
「今の就業先は、仕事もそれほど忙しくなく、落ち着いた感じで
働けますが、時給は1200円と、比較的高めです。おそらく
直雇用のパートさんは、時給1000円もらっていないと思うので
派遣でよかったと思います」
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以前よりも時給のベースがアップしていると感じる人が多いよう
です。やはり時給がいいと働きがいもあり、モチベーションに
つながっている人が多いようです。
有給・前給制度が充実している
Iさん 男性 デザイン系
「貯金を使い果たしてとにかくお金がなく、月末締めの翌月末払い
だと支払いや生活が間に合いませんでした。
今の派遣会社は勤務後すぐに積立ができ、1日5000円、最高
15万円まで、前給の申請ができたので本当に助かりました。
10日働いて、50000円を申請したら翌々日に振り込んで
もらえました。正社員ではできない制度ですね」
Oさん 男性 営業職
「フルタイムで半年働いた後、有給を10日間もらえました。
派遣社員なので有給を使うのにも抵抗がなく、誰にも咎められずに
堂々と利用しています。
社員さんたちは有給があっても、実際にはなかなか利用できなくて
ほとんど消化せずに終わっていると言っていました。ありがたい
ですね。」
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近年では、前給制度を利用できる派遣会社も増えてきており、
緊急でお金が必要な時に非常に助かるという声が聞かれます。
以前は、仕事につけても給料は2ヶ月先と言った状況に陥る
こともありましたが、前給制度の充実により、働いてすぐに
収入を得られるようになりました。
また、有給の制度も法整備によってしっかり守られ、安心して
利用できるようになったため、より派遣で働くメリットを
感じる人が増えているようです。
自分の時間に合わせて都合よく働ける
Oさん 女性 事務系
「現在、週3日で1日6時間勤務で働いています。でもパートではなく
派遣なので、時給もそれなりに頂いていますし、残業などもなく、時間
きっちりに上がらせてもらっています。子供のお迎えがあるので、
助かっています。」
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女性の社会進出もあり、週4日、一日6時間など、うまくライフワーク
バランスを取りながら働きたい人が増えています。
近年ではそういった働き方がしやすい求人も増えたため、働きやすさに
つながっているようです。
勉強をしながら働ける
Nさん 女性 コールセンター
服飾系のデザインの勉強をしながら、週3日で働いています。
コールセンターは時給もよく、きっちり時間どおりに割り切って
働けるので自分に合っていますね。
資格を取るまでのつなぎとして、便利に活用させてもらって
います。
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次の仕事までのつなぎとしての働き方としても派遣は融通が
きくので、うまく利用している人も多いです。
仕事が見つけやすい
Tさん 男性 プログラム系
「親の介護のため、どうしても安定して働けず、出たり入ったりを
繰り返しています。そうなると経歴としてはやはり印象が悪く、
まともに職探しをしてもほとんど全滅。ですが派遣だとそういった
事情はあまり関係なく、次の仕事に就けるので本当にありがたいです」
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近年、高齢者社会によって働きたくても働けない人が増えています。
Tさんのような状況の人はたくさんいて、その多くの人が派遣を
利用しているという統計もあります。
安定して働けない人でも仕事に就きやすいのは、派遣の最大の
メリットと言えるかもしれません。
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まとめ
派遣社員が増えている背景には、それを後押しする社会情勢と
労働者側のライフワークバランスが一致していることが挙げられます。
まだまだ社会的には、派遣社員という立場は理解されていない部分も
多いですが、うまく派遣を利用して働いている人のほうが、正社員と
して多くの我慢を強いられている人よりもバランスよく働き、自由な
生活を送れているのかもしれません。
今後も派遣という労働スタイルは浸透していきそうな情勢なので、
将来的には企業で働く人間のほとんどが派遣社員という日もくるかも
しれませんね。
ぜひ参考にして下さい。
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