慈恵医大の近藤一博教授のグループが、うつ病の原因となるウイルスの
遺伝子を発見したと発表しました。
これによって、これまで精神疾患だと思われていたうつ病が、物質的な
要因によって引き起こされていたことがわかりました。
ウイルスとうつ病発症のメカニズム
ヒトヘルペスウイルス6というウイルスは、ほぼすべての人が感染して、
血中に潜伏しているウイルスだそうです。
そしてこのウイルスはストレスや疲労がたまると唾液の中で急増して、
鼻と脳を隔てる嗅球という部分に達して感染し、SITH−1遺伝子と
名付けられたヒトヘルペスウイルス6の遺伝子によって作られる
タンパク質が嗅球の細胞死を誘発して脳のストレス状態を強める
そうです。
これまで、本当に効果があるかはっきりしない抗うつ剤でしか
対処できなかったうつ病が、より的確に効果を発揮する薬の開発
に期待が持てるようになりました。
この発見によってうつ病への理解が深まることを期待
この発見によって、具体的な治療薬の開発が進むことも喜ばしいの
ですが、もっとうれしいのは、これまでうつ病が「甘え」や「怠惰」
に起因していると考えられてきた風潮にも一石を投じてくれた点ですね。
会社での人付き合いや仕事のストレスなどで心に傷を負った人が、
甘えや怠惰で片付けられてきたことは否めません。
そうした傷口に塩を塗るような風潮が、もっとうつ病への理解へと
変わってくれることを期待したいですね。
まとめ
身体的な障害と比べると、精神的な障害は見た目にわかりません。
そのためまわりからの理解が得られにくく、また本人も必要以上に
頑張ろうとしてしまい、状況を悪化させてしまう人もいます。
今後の研究次第で、このウイルスの遺伝子に対する抗体の有無や
量でどれくらいの心に傷をおっているのか、うつ病の度合いを
数値として図れるようになるかもしれませんね。
そうすれば、精神疾患も目に見えるようになり、もっと周囲からの
理解も得られ、治療方法も確立されてくるでしょう。
今後の進展に期待ですね。
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